天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三ツ池公園

三ツ池公園の桜

 これは神奈川県立公園である。NHKの桜情報で満開となっていたので訪ねてみた。鶴見からバスに乗って15分ほど行き、さらに徒歩で15分ほど歩く。公園の中心には、文字通り上池、中池、下池の三つが並んでいる。随分古くから知られていたようで、下池のほとりに天保十四年(1843)に立てられたという次の歌碑がある。
  千町田に引登茂都喜じ君賀代乃恵母富加幾三ツ池農水
                  藤原ますのぶ

万葉かなをまじえて書かれている。読み方は、
  ちまちだに ひくともつきじ きみがよの めぐみもふかき
  みついけのみず

意味は明快。

秋元不死男句碑もある。昭和四十七年三月五日、古稀の祝いに建てられた。
      この池の愛蔵の水温みけり   不死男
「愛蔵の水」という措辞がポイント。


      朝戸出の淡き影ふむさくらかな
      鬱ふかきシラカシに添ふ桜かな
      嘶ける馬超龍雀花の中
      下池に鳥が水脈ひく花筏
      丘を発ち池になだるる花吹雪
      三ツ池の水涸れざれば桜かな


    三ツ池の水の恵みをことほぎて昔も今も人は歌詠む