天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

短歌人・夏季全国集会

信濃川河口

 やはりこうした集会は、みな緊張して丁寧な批評をするので参考になる。藤原龍一郎と小池光の指摘を要約する。まことに迫力に富む。例歌をあげるとわかり易いのだが、差しさわりがあるのでそれはやめておく。
 指導者クラスの歌人の詠草自体が低い得点に終わったのは、いつものごとくである。私が点を入れた歌の多くが低い得点のものであった。これもまたいつものこと。


藤原龍一郎のコメント
オノマトペは陳腐になるのでやめた方がよい。
 (注)これは慣用的なオノマトペについての注意であろう。
    ちなみに、コスモス所属の小島ゆかりは、オノマトペ
    名手であり、独特な歌を多く発表している。
*丁寧に自分独自の把握を詠うべし。
*ゆるんでいる言葉を残さないように最後まで推敲を。
*格助詞の効果に神経を使うこと。


小池光のコメント
*説明の過剰はよくない。
*「しまへり短歌」、つまり結句を「・・・聞いてしまへり」とか
 するのはダメ。思わせぶりであり様式化している。
*目で見てはじめて判る表現内容の歌はよくない。
*ダジャレはダメ。
*一首の中の固有名詞はひとつでよい。
*読者に計算を要求する内容はよくない。
*間接話法(・・・という、・・・と知る 等)
*短歌は断言すべし。断言、断言、断言 と心得よ。


 以下は当日のつれづれなるままのわが嘱目詠。


  佐渡行きの船はゆるゆる向きを変ふ台風一過のにごれる河口
  信濃川にごれる水の早ければ白き鴎は流されにけり
  コンクリート壁の内なる旅路なり「MAXとき」の一階の席
  山陰に日は沈みたり黒澄める上毛高原かすみ棚引く
  在来線駅のベンチの女生徒の白き素足の見えてかなしき
  雨雲の切れ目に青き空見えてひときは白き雲うかびたり
  首都圏に入れば見上ぐるビルの群 格差社会の象徴として
  東京に入ればかがよふ夏の夜の心まどはすあかり妖しき