天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

薔薇

大船フラワーセンターにて

 株薔薇とつるバラの2系列がある。品種が極めて多い。古代オリエントで香料や薬用に栽培が始まり、ギリシャ、ローマを経て欧州に伝わったらしい。


  くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針
  やはらかに春雨のふる     正岡子規


  風くれば薔薇はたちまち火となれり躍りあがらむ
  うれしき風に         北原白秋

  
  人はいま心飢えつつあらんとき薔薇の潔らは
  揺るることなし        加藤克己


  枝の先にありて薔薇が紅の黒に変はれり日の
  入りしかば          森岡貞香


  薔薇、胎児、欲望その他幽閉しことごとく夜の
  塀そびえたつ         塚本邦雄


                       

  さまざまに園芸品種の作らるる薔薇「バレリーナ
  野生に近き


  にごりたる大気の空に凝固せる夕日のしづく
  薔薇「黒真珠」