天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕎麦の花

久里浜・花の国にて

 蕎麦は中央アジア原産、タデ科一年草。夏ソバと秋ソバに大別される。「蕎麦の花」は、俳句では秋の季語。いつ我が国に渡来したか不明だが、かなり古い時代のこと。高血圧に効くルチンを含むので、年配者が好んで食べる傾向にある。


  さやさやし蕎麦の花畑風のむたに動くを見れば我もゆるるがに
                        島木赤彦
  この頃のあかとき露に門畑の蕎麦の白花かつ障テみけり
                        古泉千樫
  小さき岩大きなる岩そのままに耕して蕎麦の花は貧しく
                        山下陸奥
  白き布をのべたるごとき蕎麦の花ふるふると動く近くに見れば
                        大西民子


     つつましく蕎麦の花咲く荒野かな
     蕎麦の花ゆれて荒野に風わたる