天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

定家葛

鎌倉光則寺にて

 キョウチクトウ科の常緑つる性木本。今春禅竹作の能『定家』からついた名という。定家と式子内親王の忍ぶ恋。死しても式子の情念は雨となり、定家の妄執は葛となって式子の墓にからみつく。この作品の発想のもとになったのは、次の式子内親王の歌にあるという。


  秋こそあれ人は尋ねぬ松の戸を幾重も閉じよ蔦のもみじ葉
                式子内親王新勅撰和歌集
  歌人の定家葛といふ名すら時代移りし花の咲くかな
                    岡 麓
  定家葛の盆の白花さきそめて帰りきまさむ人まつこころ
                    福田たの子