天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕗(1)

横浜市俣野別邸庭園にて

 キク科フキ属の多年草。日本原産で、北海道、本州、四国、九州及び沖縄県に分布する。早春、葉より先に花茎が伸び出す。これが蕗の薹である。若い葉柄を醤油で伽羅色になるまで煮詰めたものを伽羅蕗という。秋田蕗は全体が大きく、葉柄2メートル、葉幅1.5メートルに達する。


  山路来てひたすらひもじ蕗の葉に満ちあふれゐる光を見れば
                      北原白秋
  蕗の葉の円きひかりをみるときにみなぎりきたれあすの
  いのちは                坪野哲久


  風孕み蕗の葉ひろがるその下をコロボックルは通りぬけしと
                      太田絢子
  蕗の葉のその輪ひろげて重ねあふここにことなき卯月のひかり
                      安永蕗子