稲妻(2)
雷に伴う稲妻は雲と雲の間、雲と地面の間の放電現象。空気中を大量の電気が瞬時に流れるので、数万度の高熱が起きて光を発する。雷光は空気にじゃまされるので直進できず樹の枝のように分岐したり、曲折したりといろいろな形状をなす。
くらき夜の誰に心をあはすらん雲ぞまたたく秋の稲妻
草根集・正徹
くらき夜の大寺を吾が出でくれば薊の花に稲妻のしつ
川田 順
いなづまの光のなかにさくら花わづかにうごく白さ見にけり
四賀光子
ひらひらと闇のかたへに稲妻のおとろへそめし夏を見にけり
太田水穂
コルク抜きの螺旋光れるときのまの稲妻面罵の如く過ぎたり
葛原妙子
もの思ひしばし消えよ稲妻のこもる海の上の夜の白雲
山本友一
稲妻のはしれるときに木ずえ見ゆありありとその沈黙のみゆ
横田専一