天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藺草(いぐさ)

NHK−BS「京都御所」より

 和名は単に「藺」と言った。単子葉植物イグサ科の植物。湿地や浅い水中に生え、泥に根を下ろす。畳表を作るのに使われる。その茎は帽子や枕の素材としても利用される。俳句では夏の季語。


  上毛野伊奈良(かみつけのいなら)の沼の大藺草(おほゐぐさ)
  よそに見しよは今こそまされ    万葉集・柿本人麿


  河千鳥なくやさはべのおほゐ草すそうちおほひ一夜ねにけり
                       藤原清輔
  降りそそぐ雨の音すなりこもり沼(ぬ)の水(み)ぎはの藺草
  (ゐぐさ)片よりにけり           四賀光子


  ふさぶさと芽立つ藺草の田の遠(をち)に一つ塔見ゆ斑鳩
  (いかるが)の塔              植松寿樹