和名は単に「藺」と言った。単子葉植物イグサ科の植物。湿地や浅い水中に生え、泥に根を下ろす。畳表を作るのに使われる。その茎は帽子や枕の素材としても利用される。俳句では夏の季語。
上毛野伊奈良(かみつけのいなら)の沼の大藺草(おほゐぐさ)
よそに見しよは今こそまされ 万葉集・柿本人麿
河千鳥なくやさはべのおほゐ草すそうちおほひ一夜ねにけり
藤原清輔
降りそそぐ雨の音すなりこもり沼(ぬ)の水(み)ぎはの藺草
(ゐぐさ)片よりにけり 四賀光子
ふさぶさと芽立つ藺草の田の遠(をち)に一つ塔見ゆ斑鳩
(いかるが)の塔 植松寿樹