船の歌(9/10)
「サンタマリア号」は、もとコロンブスがアメリカ大陸探検の際に使っていた3隻の船の内の最大の船の名前であった。長さ18メートル、甲板と3本のマストを備えていた。大西洋を無事に横断しバハマ諸島に到達したが、探検の途中、イスパニョーラ島で座礁し解体され、使える木材は要塞の資材として使用された。現代では遊覧船や観光船の名前に使われている。
かなたかなはるかかな少年にあらずとも見ん浚渫船
高瀬一誌
生も死もきらめくわざとしてありき捨て舟はただ揺れて
ゐたりき 坂井修一
ふるさとを捨てたる人に旗あげてサンタ・マリアという
船が出る 岡部桂一郎
鍵穴に吸はるるやうに潮ひかり母が船消ゆ速吸(はやすひ)
の瀬戸 川野里子
白き底見せて干さるる秋の舟をんなは臍より老いてゆくらむ
栗木京子
君の<われ>に私の<われ>を重ねつつ待っていたんだ
百年の船 佐佐木幸綱