宇宙を詠む(4/5)
一首目の「みにくきもの」とは人工衛星のことだろうか? 二首目の「宇宙の声」の正体が分らない。作者の幻聴か? 三首目は、テレビで見た宇宙から帰還した飛行士の情景であろう。「こころ安けくゐた」のは、飛行士のはずだが、作者のようにもとれる。
みにくきものまたさらに宇宙に投げられつと人にはばかる
わが所感一つ 柴生田稔
限りなきところをわたりとどきたる宇宙の声ををののきて聞く
佐藤佐太郎
たはやすく宇宙より人帰り来てこころ安けくゐたり数日
佐藤志満
炎天の檻に飼はるる孔雀ゐて檻を宇宙となしたる威厳
尾崎左永子
掌のなかに宇宙はありと思うまで甲州百目肉透きとおる
三枝昂之
埴輪の眼覗く空洞(うつろ)よ墜ちてゆく宇宙に涯底(そこひ)
無き恐怖はや 長岡千尋
若き父母出逢はむとする宇宙ありて私の宇宙は赤面をせり
川野里子
[注]右上の画像は、NHK-BS「宇宙遺産100」の映像から借用。