天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夢を詠う(17)

ちゃぼ

  矮鶏(ちやぼ)抱いてとりも私も目をつむる風に乗りゆく夢をみるため
                          斎藤 史
  アクロバティックの踊り子たちは水の中で白い蛭になる夢ばかり見き
                          斎藤 史
  めずらしい血液型の恋人が戦場に行っ。て。し。ま。っ。た。悪。夢。
                          穂村 弘
  夢の中では、光ることと喋ることはおなじこと。お会いしましょう
                          穂村 弘
  惑星別重力一覧眺めつつ「このごろあなたのゆめばかりみる」
                          穂村 弘
  桜散る下にて奴に犯さるる夢見きいまだ桜は咲かず
                          黒瀬珂瀾
  汝を今しわれは思ふと夢の人言はむとするを聞かず目覚めぬ
                          高橋則子
  ゆめはまばゆき若葉いろにて木々のなか人走るかも木のゆらげるは
                          渡辺松男


斎藤 史が矮鶏をかわいがっていたことは有名。よって一首目は分かりやすい。が二首目になるとちょっと困る。踊り子たちが白い蛭になる夢を見たことをどうして知ったのだろうか? 踊り子たちから聞いたのだろう。あるいは作者の想像か。
穂村 弘の三首目は、文字通りのこととして解釈するしかしょうがない。付け加えると読者の勝手な鑑賞になってしまう。
黒瀬珂瀾の歌も表現どおりの内容で付け加えることはない。