平安・鎌倉期の僧侶歌人(7/17)
良暹(りょうぜん) (生没年未詳(990頃~1060頃))
平安時代中期の僧(比叡山の天台僧)・歌人。歌語をめぐって論争した話や,良暹の詠んだ上句に誰も下句を付け得なかった話など,多くの説話が伝えられている。
[生活感]
さびしさに宿をたち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮 後拾遺集
板間より月のもるをも見つるかな宿は荒らしてすむべかりけり 詞花集
*荒廃した家でこそ月光の侘びた風情を味わえるという(隠者の趣味)。
逢坂の杉のむらだちひくほどはをぶちに見ゆる望月の駒 後拾遺集
*詞書に「八月駒迎へをよめる」とある。諸国から献上される馬を逢坂の関で迎える
行事の際に詠んだ歌なのである。「をぶちに見ゆる」とは、馬の毛が斑模様に見え
ること。紀貫之の
逢坂の関の清水に影見えて今やひくらむ望月の駒 (拾遺集)
を本歌とする。
[旅の感懐]
あまつ風雲ふきはらふ高嶺にて入るまで見つる秋の夜の月 詞花集
[人生観]
たづねつる花もわが身もおとろへて後の春ともえこそ契(ちぎ)らね 新古今集
死出の山まだ見ぬ道をあはれ我が雪ふみわけて越えむとすらむ 俊頼髄脳