小池 光の短歌観
小池 光さんの最新歌集『梨の花』(現代短歌社)を入手した際に、「現代短歌新聞」(2019年10月/91号)が謹呈・見本として同封されていた。その一面にインタビュー記事があり、小池光さんの短歌観や作法が語られていた。
以下に要点を抽出しておく。
◆(小池さんは)前衛短歌を読んで短歌を始めたのだが、わりと早い時期から
これは違うな、と感じた。前衛短歌は白黒ではなく豪華絢爛たる色彩に
あふれた世界。白黒世界を好む自分の資質とか感覚とはちょっと違うな、
と思った。
◆(小池短歌に)似ているものは、いわゆる近代短歌、というより斎藤茂吉。
◆短歌には思わず笑っちゃうみたいな要素がとても大事。茂吉の歌にはそれが
いっぱいある。
◆(小池さんの場合)歌を作るというと、三日四日かけて歌のほうに心を傾け
てゆく。この三日間には他の予定を入れないで、空けておく。
◆ぼんやり外を見ながら考えていると、集中が高まってパカッパカッと歌が
できる。それらを短歌手帳に五七五七七のかたちでメモしておく。家に
帰ってワープロに入れて推敲する。二三日寝かせておくというのも大事。
他人の眼で見える。
◆茂吉の歌集は今でも読んでいる。おもしろいのは最後の『つきかげ』で、
笑える歌がいっぱいある。『連山』という満州旅行の歌集も大事。あれを
読んでいると歌ができる。
◆前衛短歌はいわば関西の文化。饒舌な色彩感あふれる世界。塚本も典型的に
関西の人。東北人はしゃべらない。茂吉は歌がうまい。