天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

友を詠む(2/7)

  やま里にうき世いとはむ友もがなくやしく過ぎしむかし語らむ
                   新古今集西行
  ながむるに慰むことはなけれども月を友にてあかす比(ころ)かな
                   新後撰集西行
  ありあけの月よりほかに誰をかはやま路の友とちぎり置くべき
                   新古今集・寂超
  とまるべきやどさへみえぬ夕霧に友よびかはす野辺の旅人
                        耕雲
  酒のまむ友どちもがもしくしくに雨の降る夜は寂しきものを
                      和田厳足
*しくしくに: 絶え間なく。しきりに。

  枕べに友なき時は鉢植の梅に向ひてひとり伏し居り
                      正岡子規
  友をれど言問(こととひ)もなく身のまはり空しくなりて二時間あまり臥す
                      斎藤茂吉
*言問: 物を尋ねかけること。言葉を交わすこと。

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鉢植の梅