天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

食のうたー菓子・スイーツ(1/4)

 菓子は、古くは果物や木の実の総称であった。ふつう米・小麦・豆などを主材料とし、砂糖・乳製品・鶏卵・油脂・香料などを加えて作る。和菓子と洋菓子に分けられる。言うまでもなく日本の伝統的な菓子が和菓子である。生菓子と干菓子に分けられる。餅菓子、羊羹、饅頭、最中、落雁、煎餅 等々。

 

  麦こがし童なりける日のごとく歯のなき老の口に香(かう)ばし

                     窪田空穂

麦こがし: 大麦,裸麦を炒ってひき粉末にしたもの。関西でははったい粉,炒り粉とも呼ぶ。砂糖を混ぜて粉末のまま食べたり,熱湯や牛乳を注いで練って食べたりする。

 

  餡多き柴又だんごの四つ五つ息つがず食べ幸ひとせむ

                     窪田空穂

  いくさすみぬまづ羊羹が食べたしとほほ笑ましもよ誰もみな言ふ

                     筏井嘉一

  今川焼まもなく焼ける知らせにて雨の中少年と我と待ちおり

                     浜田康敬

今川焼: 小麦粉を溶いて鉄の鋳型に流し込み,あんを中に入れて焼いたもの。江戸時代後半に神田今川橋付近で売出されたのでこの名がある。

 

  一期なる恋もしらねば涼やかにはみてさびしき氷白玉

                    馬場あき子

  病みて臥す冬のまひる間コトコトと蓬をすりて餅作る母

                     中村規子

*母と子の日常の一コマが実にリアルに感じられて切ない。

 

  母が作り我れが食べにし草餅のくさいろ帯びて春の河ゆく

                     高野公彦

*この歌も母と子を草餅が仲立ちして懐かしさがあふれている。

 

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羊羹