天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳥のうた(5/12)

  おなじ速さに円を描きてゐる鳥よかかるかたちの孤独もあらむ

                      谷井美恵子

*なんとも独特な感性!、面白い比喩!。

 

  くらみくるまなこに凝りてかなしきは山越えてゆく真白羽の鳥

                       岡野弘彦

*上句は、自分のまなこの状態を指しているのだろう。

 

  わが胸郭鳥のかたちの穴もてり病めばある日を空青かりき

                       寺山修司

  わが撃ちし鳥は拾わで帰るなりもはや飛ばざるものは妬まぬ

                       寺山修司

  撃たれたる小鳥かへりてくるための草地ありわが頭蓋のなかに

                       寺山修司

  悲しめるひとおきて来し山の夜に鳴く鳥が音はわが心責む

                       五味保義

*上句の情景を想像するとなんとも悲しい。

 

  鳥の胸とあかきトマトを食べをはる曇れる街の地平は見えつつ

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トマト


                     葛原妙子