天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌集『夜のあすなろ』(5/6)

*平易な比喩表現

  あぶちろん花の名前はひとしきりわたしに灯る客人(まらうど)のごと

  情(じやう)ふかき女のごとし夜(よ)はふけてしんしん雪が降るふりつもる

  赤彦が子の声ききし終(つひ)の部屋いづれば山はかぶさるごとし

  おほきなる毬藻(まりも)のやうな宿木(やどりぎ)をのせてポプラの裸木ならぶ

  朝粥をいただくやうに掬ひをり修道院のゆるきオムレツ

  青麦の穂先けぶれる武蔵野のはたてをゆけり日傘はつばさ

 

あぶちろん