2022-09-16 歌集『夜のあすなろ』(5/6) *平易な比喩表現 あぶちろん花の名前はひとしきりわたしに灯る客人(まらうど)のごと 情(じやう)ふかき女のごとし夜(よ)はふけてしんしん雪が降るふりつもる 赤彦が子の声ききし終(つひ)の部屋いづれば山はかぶさるごとし おほきなる毬藻(まりも)のやうな宿木(やどりぎ)をのせてポプラの裸木ならぶ 朝粥をいただくやうに掬ひをり修道院のゆるきオムレツ 青麦の穂先けぶれる武蔵野のはたてをゆけり日傘はつばさ あぶちろん