天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春雷と桜

 明け方に気持のよいほど大きな春雷が鳴った。昼間は花冷えになった。靖国神社は花の下の春まつり、皇居外堀周辺は桜満開。大変な数の花見客であった。

     暁の春雷に夢破れけり
     高層の眠りを破る春の雷
     朝光の清しき桜並木かな
     花弁に朝日の影のありにけり
     銅像も誇らしげなる櫻かな
     田安門妊婦立たせる櫻かな
     田安門出づればふぶく櫻かな
     田安門出でて桜のただ中に
     写真家の帽子飛ばしぬ花嵐
     植木市の花の上なる櫻かな
     さくら咲く鳥居の下の猿回し


 「古志」四月号掲載、長谷川櫂主宰の二句について。
     鴛鴦の水の眠りの深みどり
 *おしどりの眠り水の眠りが深いみどりの中。なかなか凝った作り。

     片栗の花くるくると氷上に
 *前書きに「トリノ五輪荒川静香選手が金メダル」とある。
  背を反らせて大きく円を描くイナバウワーではなく、三回転、
  二回転、スピンなどの様子に片栗の花をイメージした平易な作り。