天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

風鈴市

風鈴市

 今年も川崎大師の風鈴市にいってみた。昼間なのでうるおいがない。創作風鈴が多いのも風情を減ずる。昼過ぎてから続々と客が増えてきた。
 藤沢の遊行寺では、「遊行の盆」と称して、全国の有名な盆踊りのいくつかを披露する催しがある。それも見てみたいと当日券の受付に並んだものの二時間も待たなくてはならない、とのことで諦めた。家に帰って焼酎オンザロックを傾けながらレッドソックスマリナーズの試合を見ている。


  梅雨空にせき止め飴を切る音のかまびすしけれ仲見世通り
  ワンカップ片手につまむたこ焼を猫にも食はす夫婦なりけり
  甲羅干す亀に囲まれ居眠れる白きアヒルにしぶく噴水
  放生の池にくらせる鯉亀を誰かうらやむ川崎大師
  江戸切子南部くろがね瀬戸焼の風鈴あまた境内に鳴る
  風鈴をあまた吊るせる店先に買はず佇むわれならなくに
  梅雨空の川崎大師たもとほりおみやげに買ふ切子風鈴

  
     野良猫にたこ焼食はす風鈴市
     四五人の風鈴市のをどりかな
     甲羅干す亀がやにはに首振れり
     手にとりて風鈴ふたつ聞きくらべ
     金剛山風鈴市の護摩供養
     入り乱れ風鈴鳴るや護摩供養
     風鈴や仲見世通りに飴を切る
     風鈴や久寿餅を売る総本店
     扇風機優先席に遠慮なく
     巡礼の鈴鳴り止まぬ団扇かな
     黒門や遊行の盆にみちびかれ
     藤沢山遊行の盆のをどりかな