寸感おろそかならず
「短歌人」9月号に、小池光が「六月号水無月集寸感」を書いている。小池光の文章は、これまでもたびたび取り上げてきたが、今回も感心してしまった。その切れの良さは9月号を読んで頂くしかないが、短歌を作るときの要点が処々に出ているので、以下には、それらを抜き出しておく。
*無意味の意味という風情。おもしろい。
*動作を表現するときにもっとも大切なのは時間の、その長短
の把握だ。
*観念性が過剰だと、現場が見えない。短歌作者は一種の現場
監督である。現場を仕切らないと、歌が飛ばない。
*作りのおもしろさはあくまで即物的に実地、実地に限定する
ところにあって一般化するととたんにウソ臭いものになる。
*比喩のゆえんを説明するととたんにつまらなくなるもの。
*人の目にとまりにくい素材を自身の目で観察して歌にする
ところはよい。
ケチをつけているところが目立つように見えるが、小池の評はそうでない。誉めた上での注文である。