天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夏椿

藤沢市新林公園にて

 ツバキ科の落葉高木。樹皮は滑らかで褐色、古くなると剥離して独特の模様を生じる。シャラノキ、サラノキとも呼ばれる。沙羅双樹とは別物だが、よく混同される。


  沙羅の花咲きて夕虹かこみけり精舎に雨のやみしひととき
                    伊藤宏見
  この年のはだれとなして夏椿下よりのぞく白妙の洞
                    小國勝男
  さびしめど詮なきものを師の眠るかみつけ薄暑夏椿咲く
                    今井博子
  沙羅双樹散り終りたる美術館に生首(くび)捧げもつサロメ
  と出遭ふ             百々登美子


  はるかなる沙羅双樹咲く夏来しがミサイルは行く天の奥どを
                    前川佐美雄
  夏椿薄くすずしき花の白沙羅とし言えばさらにすずしき
                     石本隆一