天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蒟蒻(こんにゃく)

大船フラワーセンターにて

 インド、スリランカ原産といわれるサトイモ科の多年草。蝮蛇草に似た不気味な茎葉(右画像参照)が黄色く枯れてくる頃、晴れの続く日に鍬で掘り出し乾燥して保存する。「蒟蒻掘る」が冬の季語。「蒟蒻干す」はその傍題。右の画像は、蒟蒻の花である。


     蒟蒻負ひ馴れしこの道この傾斜   橋本多佳子


  旅を来てかすかに心の澄むものは一樹のかげの蒟蒻ぐさ
  のたま                  斎藤茂吉


  上州よこんにやくを自慢するなかれ日本中どこにもうまい
  のがある                 土屋文明


  こんにゃくの裏と表のあやしさを歳晩のよる誰か見ている
                      岡部桂一郎
  逆らひの言葉いつさいおさへむとちぎり蒟蒻ふつふつと煮る
                       梅原皆子
  蒟蒻をふるふると煮る われはつねによきかたを選ばざりし
  マルタ                  雨宮雅子


  蒟蒻をさげて隣人のきたる朝まだあたたかく蒟蒻はづむ
                      前 登志夫