天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

薄氷

横浜市舞岡公園にて

 「うすらい」と読む。春先にうっすらと張る氷のことである。また溶け残った薄い氷のことも。万葉時代から使われている言葉で(2008年1月28日のブログ参照)、江戸時代までは冬の季語であった。明治以降に春の季語になった。


     せりせりと薄氷杖のなすままに    山口誓子
     指一つにて薄氷の池うごく     後藤比奈夫
     薄氷そつくり持つて行く子かな    千葉皓史


  みづたまりの薄氷はづして持てれば光へめぐりしたたりやまず
                       森岡貞香
  昨日来て今朝また来たる露天湯の水のたまりに薄氷の張る
                      狩野登美次
  血縁は日向に集ふそこまでの薄氷われはいつほほゑまむ
                       江畑 實
  立春の明けの薄氷 嘴(はし)打ちていくさのごとく鷺はあそびし
                      百々登美子