千載和歌集は、藤原俊成の撰になる七番目の勅撰和歌集である。格調と抒情性が重んじられ、俊成が唱えた幽玄の心が加わる。また本歌取りのような方法的革新がなされる。
木枯しの雲吹き払ふ高嶺よりさえても月のすみのぼるかな
千載集・源 俊頼
照る月の旅寝の床やしもとゆふ葛城山の渓河の水
千載集・源 俊頼
塩竃の浦吹く風に霧はれて八十島かけてすめる月影
千載集・藤原清輔
更けにける我が世の秋ぞあはれなるかたぶく月は又も出でなん
千載集・藤原清輔
山の端にますみの鏡かけたりと見ゆるは月の出づるなりけり
千載集・藤原基俊
草も木も秋の末葉は見えゆくに月こそ色はかはらざりけれ
千載集・式子内親王