天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神を詠む(4/9)

  思ふことくみてかなふる神なれば塩やに跡をたるるなりけり
                   千載集・藤原公教
  春日野のおどろの道のうもれ水すゑだに神のしるしあらはせ
                  新古今集藤原俊成
 八百万(やほよろづ)よもの神たちあつまれり高天(たかも)の原に千木たかくして
                   金槐集・源 実朝
  やほよろづ神のちかひもまことにはみよの仏のめぐみなりけり
                  新勅撰集・源 通親
  親家兄(いろせ)神なにあらむとぞおもふああこの心たけくあれかし
                     与謝野晶子
  天地のいづれの神かうけざらむ御代やすかれといのる願ひを
                      香川景樹
  しづかなる病の床にいつはらぬ我なるものを神と知るかな
                     山川登美子

 

 一首目: 詞書「白川法皇くまのへまゐらせ給うける御ともにて、しほやの王子の御まへにて、人人歌よみ侍りけるに、よみ侍りける   後三条内大臣」がある。
 二首目: 現在の自分の地位を「おどろの道のうもれ水」に喩えている。「すゑ」は子孫のことで、子孫には神のご加護を願っている歌。
 与謝野晶子の歌は、自分の恋心の在り様を詠っている。
 山川登美子の感覚は独特のものではないだろうか。

 

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春日野(webから)