天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

身体の部分を詠むー腕(1/3)

 「ただむき、かひな」とも言う。腕に宿る力から転じて、武芸のたくみさ、職人の技術などについても使う。

 

  腕拱(く)みて/このごろ思ふ/大いなる敵目の前に躍り出でよと

                      石川啄木

  楤(たら)の芽にがき晩餐ののち汝とねむり金色の腕の下にほろぶ

                      塚本邦雄

  満月のきたりてわれの夜を照す垂れたる腕はさみどりの莢

                      岡井 隆

  あそびゐし軍鶏がいたく柔らかに抱(いだ)きとられつ男の腕に

                      田谷 鋭

  前科の腕を垂れて君ありわが彫りし生ける塑像と誰か言はぬか

                      春日井建

*なんとも難解! 「前科の腕」「わが彫りし生ける塑像」 ??

 

  抱くため腕あることを知らしめし縹の夜明け忘るるなけむ

                      春日井建

*縹: 縹色(はなだいろ)は、明度が高い薄青色のこと。

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楤の芽