天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲のうた(10)

瑞雲(慶雲、紫雲)

 古今集で雲の歌を探していると、以下のように清原深養父が多く詠んでいることに気付く。古今集の特徴である掛詞や理屈がある。



  夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ
                  清原深養父古今集
  冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ
                  清原深養父古今集
  雲ゐにもかよふ心のおくれねば別ると人に見ゆばかりなり
                  清原深養父古今集
  人を思ふ心は雁にあらねども雲ゐにのみもなき渡るかな
                  清原深養父古今集
  すみぞめのきみが手本(たもと)は雲なれやたえず涙の雨とのみふる
                   壬生忠岑古今集
  久方の雲のうへにてみる菊はあまつ星とぞあやまたれける
                   藤原敏行古今集
  あしひきの山立ち離れ行く雲の宿り定めぬ世にこそありけれ
                   小野滋蔭『古今集
  うきめをばよそめとのみぞのがれゆく雲のあはたつ山の麓に
                   あやもち『古今集


[注]右上の画像は、web「雲の種類と名前」 http://asukainfo.com/kumo
   から借用した。