天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ミンミン蝉(続)

セミ科の昆虫。日本の特産で、北海道南部から九州にかけて、七月上旬から九月下旬ころまで現れる。寒冷地に多い。幼虫は七年間ほどを土中で過ごすという。 死ぬほどのことをお前はしてゐないなんて言ふのよ みんみん蝉が 柳 宣宏

石の歌(2)

個々の石に表情を見る。石を障害物と見る。石は頑固の象徴でもある。種々の美しい色を帯びた石は、宝石として珍重される。各国には、その国の宝石が決まっている。米国:サファイア、英国:ダイヤモンド、フランス:パール、ロシア:ロードナイト、中国:翡…

石の歌(1)

岩が砕けたものが石で、石が粒状に砕けたものが砂ということになる。人類が一般的に石から受ける印象あるいは石に付与する思想がある。具体的には、伝説・物語・信仰・用途などに見られる。和歌や短歌に詠まれた石にも作者の石に対する考え方・思いが現れる…

怪談

怪奇現象に関する物語。怨霊、魑魅魍魎などが出て来る。神話、『今昔物語』、『雨月物語』など多数あるが、小泉八雲が日本各地の怪談や奇談を収集し、自身の解釈にしたがって情緒豊かな物語にまとめた、『怪談 』もよく知られている。 先日四谷に行った際に…

空蝉(うつせみ)

蝉のぬけがら。魂がぬけた虚脱状態の身。以下には、蝉のぬけがらを詠んだ歌のみをあげる。古来、万葉集や古今集などにも詠まれているが、すでに2009年9月16日、2010年9月2日、2011年9月12日のブログでご紹介済み。重複のない歌をあげる。 空蝉のからくれない…

神奈川の力石9

力石の所在地にたどりつくのに毎回のように苦労する。川崎大師のようによく知られた場所なら問題ないが、多くは昔の村の天神社や地蔵堂などであり、地図だけが頼りになる。今回は境木地蔵堂にたどりつくのにとんでもなく路を間違えた。後で顧みれば、バス路…

油蝉(続)

半翅目セミ科の昆虫。油に濡れたような翅の暗赤褐色が特徴。油を炒るような声で鳴く。幼虫は六年間地中の木の根などの樹液を吸い脱皮を繰り返し、産卵から七年めに地上に出る。 丸ビルの舗道に落ちし油蝉ひと暴れしてあはれ絶えたり 三枝英夫 油蝉の身を啖ひ…

アンスリウム

熱帯アメリカ原産で明治中期に渡来し、大紅団扇の名がつけられた。サトイモ科の多年性観葉植物。心臓形の花のように美しい仏炎包が喜ばれる。 ジャスミンのアーチ潜れば一叢のアンスリウム生ひて朱き その包 磯 幾造

報徳の思想

二宮尊徳は、10年に及んだ桜町復興の成果報告をした際に、小田原藩主大久保忠真から、「徳を以って徳に報いる(以徳報徳)やり方」だと言って褒められた。わが意を得た尊徳は、以後自分の方法論・生き方を「報徳」と呼ぶことに決めた。具体的には、次のよう…

二宮尊徳生誕の家

小田原に行くとどこかで二宮尊徳関係の記念物に出会うが、うかつにも今まで二宮尊徳がどこで生れたか、正確な場所を知らなかった。今回、堀之内若宮八幡の力石を訪ねるために地図を調べていて、すぐ近くに生誕の家があることを知った。生家はもちろん昔のも…

塔の歌(2)

内藤多仲は、高さ4000mの塔も設計し、それに要する費用も概算していた。もちろんどこにも実現はしていない。東京スカイツリーが634mだから、その高さのほどが知れる。 泥濘にレモン沈める夕ぐれの心のなかに塔は直(すぐ)立つ 百々登美子 青く澄む吉備路の…

塔の歌(1)

塔の歌については、2010年2月23日と2013年5月19日に取り上げているので、それらとダブらないものをご紹介する。最近、ABS朝日で「塔博士の愛した数式」という番組を見て、人類学者・中沢新一の解説に感銘を受けたことがきっかけである。内藤多仲が構造設…

神奈川の力石8

お盆の時期に、川崎市にある以下の四カ所を訪ねた。女躰(にょたい)大神という神社の名前にはびっくりした。全国には他にないはずである。由来を読んで納得した。 [八幡大神]川崎市中原区上平間 街路樹の桜木に鳴く油蝉わが道行きをはげますがごと それぞれ…

お盆の川崎大師

久しぶりに川崎大師に行ってきた。以前に行ったのは、何年前であったか、七月中旬に開催される風鈴市であった。全国から集まった様々な風鈴が売られていて、壮観であった。今回は、境内の力石を目当てに行った。力石を見て詠んだ短歌は別途ご紹介する。 お盆…

神奈川の力石7

下倉田に一回目に行った時は、力石の場所が分らず無駄足に終った。バス停から反対方向に歩いていたのだ。また尋ねる人に出会わなかったため、であった。家でWEBで確認してから、二回目に出かけて見つけた。湯河原町吉浜の小道地蔵堂はバス停のすぐ傍なの…

ぼくたちが愛した自由青葡萄

作年亡くなった小寺敬子さんの遺句集『夏の果』(青磁社)の最後の句である。小寺敬子さんは「古志」の同人であり、「古志」創刊時からのメンバーである。今回の遺句集は、長谷川櫂氏の選になるという。小寺敬子さんにはすでに句集『花の木』もあるが、私は…

ラベンダー

ラベンダーについては、2010年7月14日のブログでご紹介したが、今回はその補足である。古代ローマ人たちは、入浴や洗濯の際にラベンダーを湯や水に入れることを好んだという。現代でも主に石鹸、化粧品に用いられる。さし木で増やす。花の色には、品種により…

神奈川の力石6

今回は茅ヶ崎市の二カ所と横浜市の一カ所について。いずれも素直に所在場所に行くことができた。バス路線の近くや駅の近くにあると大いに助かる。 [八王子神社]茅ヶ崎市・本村 力石の立札ありて梅の花 青梅を齧りて試す力石 本殿に向かひて左手前なる梅の…

トベラ

トベラ科の常緑低木。日本では本州から九州、韓国、台湾、中国南部までの海岸に自生する。潮風や乾燥に強く、つやのある葉を密生する。街路樹として道路の分離帯などに栽培される。雌雄異株。枝葉は切ると悪臭を発するため、節分にイワシの頭などとともに魔…

イワタバコ

水がにじみ出る岩肌に張り付くように生える多年草。鎌倉の谷戸の岩場によく見かける。特に北鎌倉・東慶寺の崖のものはよく知られている。ただ、花の時期はすでに過ぎてしまった。 滴りに濡れにぞ濡れて岩たばこ 瀧 春一 透きとほる雨後の谺や岩煙草 平子公一…

立秋の長谷

日本列島を台風が襲った。立秋の日に天気が良かったのは、関東地方だけだったようだ。紫陽花の時期を過ぎた鎌倉長谷では、芙蓉、蓮、百日紅が目についた。長谷寺の境内は模様替えしている。立派な写経場が出来上がり枯山水の庭がある。従来の二カ所の写経場…

芙蓉

アオイ科の落葉低木。掌状の大きな葉で初秋に淡紅色の五弁の一日花を開く。白芙蓉は珍しい。中国で芙蓉は蓮のことなので、間違えなようにキハチス、モクフヨウとも。 白芙蓉暁けの明星らんらんと 川端茅舎 今散りし芙蓉の花に蟻わたる 星野立子 かがやきは尽…

神奈川の力石5

岡村天満宮を探すのに少し手間取った。人に聞いて、反対方向に歩きはじめていたことが分った。バス停からどの方向に歩くかの判断が難しい。詳細な地図を持ち歩けばよいのだが、面倒なので、予めGoogleなどで調べて、簡単なメモを準備してゆく。でもこれでは…

花魁草(おいらんそう)

北米原産のハナシノブ科の宿根草。フロックスという。寒さに強い。花の色には、淡紅、白、鮭肉色などがある。早春に開花するものと夏から秋に開花するものなど67種が知られている。日本では、花房の形が花かんざしに見えるところから、この名前がついたよう…

鮎魚女(あいなめ)

魚類カサゴ目アイナメ科の一種。日本沿岸の比較的塩分濃度の低い岩礁域に広く生息する底生魚で、食用になる。カサゴと違って、アイナメはひれの棘(とげ)が発達しないこと、背びれが1つに繋がっていること、体高が高いこと、鱗が細かいことなどが特徴。また体…

神奈川の力石4

横浜市に長年住んでいるが、有名でない神社仏閣はほとんど知らない。地元の人でも長く住んでいないと分らないことが多い。浄念寺と街山(つじやま)八幡神社がそうであった。予めパソコンでGoogleの地図で調べて出かけるのだが、ほとんどあてにならない。また…

破れ傘

キク科の多年草で、本州から九州の山地の木蔭にはえる。七、八月に茎上に円錐花序を作り、十個内外の白色筒状の頭花を開く。名前の由来は、若葉が破れ傘をすぼめたように見えるところからきた。 滝近きけはひの霧に破れ傘 岡田貞峰 文覚の堂畑荒るるやぶれ傘…

富安風生

姥子のかんぽの宿の入口には、次の句碑がある。 ひともとの姥子の宿の遅ざくら 風生 作者の富安風生(本名:謙次)は、東大法科を卒業して郵政省の前身である逓信省に入り、電気局長や逓信次官にまでなった官僚である。俳句では、高浜虚子に師事し「ホトトギ…

避暑に箱根へ(2)

二日目は、芦ノ湖を湖尻から箱根町まで海賊船で渡り、箱根町では関所跡と資料館を見た。ここには今までに何度も訪れているが、変ったなと思ったのは、案内役のおばさんたちが熱心に説明してくれたことと遺跡発掘の結果が増えていたこと。 藤沢に帰ってきて、…

蚊帳吊草

カヤツリグサ科の一年草で、日当りの好い草地に生える。茎を裂いて蚊帳の形を作って遊ぶ。近似種が多く、それらが混同されることも多い。 行き暮れて蚊帳釣草にほたるかな 支考 野に伏せば蚊屋つり草も頼むべし 一茶 かたくなに一人遊ぶ子蚊帳吊草 富安風生 …