天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

金魚

コイ科。中国が原産地で鮒を原種とする。日本には室町時代に輸入され、江戸時代から観賞用に多くの品種ができた。和金、琉金、出目金、珠文金、蘭鋳など。養殖地としては、大和郡山、愛知県弥富町、東京江戸川などが有名。特に大和郡山では、金魚池の中を電…

夏木立(3)

小田急線・伊勢原駅に降りて、大山行きのバスを待っていたが、日向薬師行きが先に来たので、それに乗ってしまった。その場の思いつきで行動するのはいつもの習性である。終点で降りたが、客は他にだれもいなかった。ノウゼンカズラや白い槿の花が農家の庭に…

ひまわり

北米原産のキク科の一年草。種子は食用になり石鹸の原料にもなる。花言葉は、あこがれ。 向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日の ちひささよ 前田夕暮 かぐろくも円き花芯や向日葵の花みな了へて西日 暑かり 北原白秋 一粒の向日葵の種まきしのみに荒野…

夏木立(2)

今回は、寿福寺、海蔵寺、化粧坂、葛原ケ岡、浄智寺といったルートを歩いた。海蔵寺の山門をくぐると左側に、清水基吉の句碑がある。 侘び住めバ八方の蟲四方の露 俳人としての基吉は、石田波郷に師事した。小説家としては、第二十回芥川賞を受賞している。…

グラジオラス

アフリカ、地中海沿岸原産でアヤメ科の球根植物。わが国には明治時代に輸入された。花色が多く変化に富む。 日にいくつ咲きのぼるらむグラジオラス花十いくつ咲きて傾く 大塚布見子 農地また原野にもどる日日あわれグラジオラスは雨に咲きたり 宮岡 昇

夏木立(1)

夏の鎌倉は禅寺の木立に特に魅力がある。与謝野晶子のかの有名な歌ではないが、いかにも夏木立というおもむきがあって清々しい。杉本寺、報国寺、浄妙寺とめぐって、鎌倉の夏の風情を堪能した。杉本寺は、鎌倉最古の霊場で、頼朝入府以前からあった。頼朝や…

萱草

ユリ科の多年草。藪にはえるものにヤブカンゾウ、ワスレグサ、オニカンゾウなどがあり、山野にはえるものにノカンゾウがある。また、海岸にはえるものをハマカンゾウという。いずれも昼間だけ咲き一日でしぼむ。若葉は食べられる。 萱草を甘菜と呼ぶことのこ…

朝鮮朝顔

木立朝鮮朝顔、エンゼル・トランペット、ダチュラ、曼陀羅華。キチガイナスビともいう。ナス科チョウセンアサガオ属。キダチチョウセンアサガオ属は高木または低木で、下向きの花をつける。チョウセンアサガオ属は一年草または多年草で、上向きの花をつける…

木苺

バラ科のキイチゴ属の落葉小低木の総称。広く日本の山野に自生。モミジイチゴ、カジイチゴ、ベニバナイチゴ、セイヨウキイチゴなど百種以上あるというから驚く。 木苺の崖の下径札所みち 石塚友二 きいちごの落ちさうに熟れ下校どき 大屋達治 道のべの木いち…

家康のしかみ像

徳川家康は三十一歳の元亀三年(一五七二)十二月、三方ヶ原で戦った武田信玄との合戦で負けを経験した。後に、この敗戦を肝に銘じるために自分の姿を一幅の絵に描かせ、慢心の自戒として生涯座右に置いたと伝えられる。通称「しかみ像」という。この姿の石…

桔梗

キキョウ科の多年草。きちかう、とも言う。俳句では秋の季語だが、梅雨も明けないうちから咲き始める。秋の七草の一つ。 桔梗やまた雨かへす峠口 飯田蛇笏 仏性は白き桔梗にこそあらめ 夏目漱石 もののふの草むすかばねとしふりて秋風さむし きちかうの原 河…

美しい日本語

ただいま三連休の旅行中。JR岡崎駅前のホテルから入力。 NHKのアーカイブスで、詩人の堀口大学にインタビューした 映像を見ていたら、彼は日本語は大変美しい言葉だと盛んに 強調していた。そのことが印象に残ったせいか、旅行に持参 した斉藤茂吉の歌集『の…

流人の思い

俳人の飯田龍太と歌人の前登志夫についてである。ふたりとも故人になってしまったが、ある共通点がある。 野に住めば流人のおもひ初燕 飯田龍太『百戸の谿』 昭和二十九年刊 夕神楽きこゆるやまの山陰(やまほと)に流人の家族 (うから)冬ぞきらめく 前登…

蚯蚓の夏

みみずは、ミミズ科の環形動物の総称。陸生のミミズは夜に活動するらしい。調べた研究者がいるのだ。雌雄同体で秋に産卵する。俳句では夏の季語になっているが何故だろう? 釣の餌になり夏の早朝、畑でミミズ掘りをして釣に出かけるためか? あるいは、夏に…

寺の本殿には仏像があって、僧侶はそれに向ってお経をあげるが、神社の奥には、何故か鏡がおいてあり、宮司はそれに向って祝詞をあげる。仏像を仏の象徴として拝むのは、仏教世界に共通であるが、鏡を神の象徴としておくのは、日本だけなのであろうか? 静か…

合歓の花

合歓(ねむ)の木はマメ科の落葉高木。俳句ではよく詠まれる。なかでも「奥の細道」にある次の芭蕉の句はよく知られている。 象潟や雨に西施がねぶの花 芭蕉 雨の日やまだきにくれてねむの花 蕪村 合歓さくや七つ下りの茶菓子売り 一茶 親しきはうすくれなゐ…

虎尾草

とらのお、サクラソウ科の多年草。オカトラノオ、ノジトラノオ、ヌマトラノオ などがある。文字通り、それぞれ丘、野路、沼 に生育する。小さな白い花を多数、房状にびっしりとつける。 虎尾草の咲くべく木曾の高曇 宮坂静生 虎尾草に黒姫山の霧匂ふ 亀田英…

海釣り

川での鮎釣りを詠ったので、海の釣りも短歌にしようと、江ノ島に出掛けた.。いつも行っているところなので、まことに手軽な話である。釣舟に乗ってみるのよいが、その趣味はない。磯釣りを眺めるのみ。辺津宮には、依然として茅の輪がおいてあり、今回は老婆…

やまもも

ヤマモモ科の常緑高木。果実を採るために栽培されるが、防風林、公園樹としても利用される。樹皮は褐色の染料になる。 枝かはすやまももの木の夏木立わがみづいろ の網床かけよ 青山霞村 ほのかなるやまももの実はわが摘まむこの日 したがふひとり子の為 小…

鮎釣りの川

この時期、厚木近くの相模川でも鮎釣りの姿が目立つ。鮎はアユ科の淡水魚で、香魚、年魚などともいう。年魚とは、一年で生を終えるところからきている。鮎は万葉集にも詠まれている。 春されば吾家(わぎへ)の里の川門(かはと)には 鮎児(あゆこ)さ走る…

くちなし

アカネ科の常緑低木。六、七月に香のよい純白の花が咲く。実が熟しても口を開かないので、この名が付いたという。 口なしの花さくかたや日にうとき 蕪村 口なしの花はや文の褪せるごと 中村草田男 夏の日はなつかしきかなこころよく梔子の花も汗もちてちる …

梅雨の坐禅

短歌人・横浜歌会のある日は午前中は、北鎌倉の円覚寺で過ごすことを習慣にしてる。土曜日に引き続き、今日も気分が悪くなるほど蒸し暑かった。それにしても、相変わらず外国人観光客が多いが、この湿度のせいか笑顔は見られない。 梔子の花の垣根に入る雀 …

にわとり(続)

6月29日のところで「にわとり」に関する枕詞についてふれたが、車中で茂吉の『あらたま』を読んでいたら、枕詞の効果を示すよい例が出ていたので以下に紹介しておく。 君の骨箱にはひりて鳥がなく東のくにに 埋められにけり これは、大正6年・節忌の項の…

美容柳

ビヨウヤナギ、未央柳とも書く。ただし、柳とは無関係。おとぎりそう科、半常緑性低木で中国原産。金糸桃ともいう。同類に金糸梅があり、一見、よく似ている。金糸梅は花びらがカップのように上を向くのに対して、美容柳は下に垂れてくる。 未央柳雨に散りし…

七夕

今年もまた七夕がやってきた。この書き出し、毎年のことである。変り映えしないが、それだけ日本はなんといっても平和が続いているのだ。 七夕の笹の葉がひにかそけくもかくれて星の またたく夜かも 太田水穂 よく磨らむ愛し女童七夕は磨る墨のいろの金に顕…

否定の抒情

斎藤茂吉が短歌で否定形を多用したことはよく知られている。短歌で否定形を使う場合、純粋の否定、反語といった用法以外に心情のねじれやユーモアを含ませる用途がある。茂吉はその効果を熟知していたからであろう。 はるばると一すぢのみち見はるかす我は女…

コイ科の淡水魚。長野県佐久の養殖はよく知られている。鑑賞用に様々の模様の鯉が飼育されており、その価格たるや一尾で一軒の家が買えるようなものまである。魚博士・末広恭雄著『魚の博物事典』によると、コイは中央アジアが原産という。ちょっと待てよ、…

清左衛門地獄

以前に一度行ったことはあるのだが、産経新聞に関東の湧水の名所として紹介されていたので、また行ってみた。大雄山線の富士フィルム前駅で下車すれば、矢印の案内板がところどころにあるので迷うことはない。実は、環境省が全国から選んだ平成の名水百選の…

三鬼の犬の句

西東三鬼は犬が好きだった。犬の代が変わっても名前はいつも「ラッキー」だった。 俳句にも随分詠んでいる。拾遺を含む全句集について調べてみたら、38句あった。他の俳人は、あまり犬を詠むことはないので、三鬼の場合は稀有といってよい。それだけ犬好き…

葉山森戸海岸

雨が降りそうな気配の中、海開き間近な葉山森戸海岸に行ってみた。特段の理由はなく、気まぐれに逗子駅に下りたついでに思いついたまでである。何度も来ているのだが、新しい発見があった。西東三鬼の句碑を見つけたのだ。今まで気付かなかったことが迂闊で…