天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

花韮

ハナニラ。南アメリカ(メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ)原産、ユリ科の球根植物。明治中期の渡来した。鉢植、花壇に群植するのに向いている。紫色花をつける園芸品種もある。実生、分球でふやす。葉にはニラやネギのような匂いがある。野菜のニラと同…

銚子ノ井

鎌倉十井の一つ。鎌倉駅から逗子行きのバスに乗り名越の次の長勝寺バス停で下車。少し前方に歩くと路傍左側に家と家の狭間の木の根方にあった。この木を見上げると屋根の上方に白いもくれんの花が咲いていた。 白木蓮井戸の石蓋すこしずれ もくれんの根方に…

神武寺の山桜

小雨の降る中、東逗子にある天台宗・神武寺に山桜を見に行った。山路に数本立っているにすぎないが、一度見たときから忘れられない。手近な山桜といえば、先ずここを思ってしまうのである。 山桜は、バラ科サクラ属の落葉高木で日本の野生の桜の代表。葉芽と…

雪柳

バラ科の落葉低木。別名はコゴメバナ、コゴメヤナギなどとも。中国原産というが、日本にもともとあったとの説も。自生とは別に平安時代から栽培されていたと伝える。 我孫子駅過ぎ人の荷の雪柳 和知喜八 雪柳吹かれもつれて花こぼす 岡田虚風 雪柳古き運河に…

三月三連休

この連休に、また岡崎市を訪ねた。徳川氏発祥の地なのでいくつか歴史的に興味ある史跡がある。今回は、徳川氏の菩提寺である大樹寺を見学した。成道山松安院と号し、文明七年(1475)松平四代親忠(家康より六世の祖)の創建になる。見学は先ず本堂に坐…

子規から虚子へ

―近代俳句の夜明け―展が神奈川近代文学館で開催されている。「仰臥漫録」や虚子がメモした明治二十九年一月三日の「新年句会稿」などの実物を見ることが出来て幸せであった。虚子の自句朗詠にも感動した。レコードにしたものだが、どこかにCDを売っていな…

木五倍子

キブシと読む。果実に含まれるタンニンが、黒色染料の五倍子(ぶし)の代用になるところから命名されたという。雌雄異株の落葉低木。キフジとも呼ぶが、これは黄色い藤の花房と見たところからである。 立ちながらわれは衰ふ百千のなんばんきぶし 萌ゆるをみ…

はくもくれん

モクレン科の落葉高木で中国原産。葉に先立って乳白色の花が開く。辛夷と紛らわしい。花びらの幅が広く厚みがあり、上向きに閉じたような形で咲く。全開しないところが辛夷と違う点。 白木蓮咲きしを閨のあかりとす 井上 雪 白木蓮や遠くひかりて那智の滝 石…

泉ノ井

鎌倉十井の一つ。横須賀線を背にして浄光明寺門前の道を100mばかり進むと左手路傍にある。扇ガ谷二丁目十八番地にあたる。比較的原形がよく残されていると説明されているが、原形を見た現代人などいない。どこかの古い文書にこの井戸の形が描かれてでも…

シデコブシ

日本の固有種でモクレン科。漢字では幣拳、幣辛夷、梓辛夷、四手辛夷、四手拳などと当て字する。岐阜県、愛知県、三重県のごく限られた地域の低地・低湿地にしか自生していない。生きた化石であり、気候や他の環境条件の変化に耐えて生き残った遺存種。古名…

星ノ井

鎌倉十井の一つ。極楽寺切通しを由比ガ浜の方向へ下ったところの道の左辺にある。星月夜の井、星月の井 などとも呼ばれた。その昔、この井戸の中に昼間も星の影が見えたことから、この名がついたといわれる。井戸の水は清らかで美味だったので、昭和初期まで…

山茱萸(さんしゅゆ)

ミズキ科の落葉高木。中国と朝鮮半島が原産地。日本には江戸中期に薬用として種子が渡来した。強壮、めまい、耳鳴り、インポテンツ、遺精、頻尿、老人の夜尿症などに効く。「春黄金花(はるこがねばな)」という別名もある。秋にはグミのような赤く熟した実…

塚本短歌の文化的背景

塚本邦雄に師事した小説家・楠見朋彦の『塚本邦雄の青春』(ウエッジ文庫)を読み終えた。これは小説ではなく、丹念な資料渉猟に基づくドキュメントである。既に周知のことだが、この本に補足して塚本短歌の文化的背景を箇条書きにすれば、以下のようになる…

甘露ノ井

鎌倉十井の一つ。北鎌倉・浄智寺山門に続く参道の石橋の左にある。新編相模国風土記稿には、「甘露の井は方丈の後なる清泉なりとも、又門内に沸出する清水をも云うと云へり、鎌倉十井の一なり。伝に源頼朝、この井に貫高を寄付せしことありと云う」とある。…

諸葛菜

ショカツサイはアブラナ科、中国原産。三国志の諸葛孔明が出陣のさきざきでこの種子をまき、食糧となるように栽培したことからこの名がついた。花大根、紫花菜、大アラセイトウ などともいう。香りが強いらしいが、まだ嗅いだことはない。なお、例年は瑞泉寺…

瓶ノ井

北鎌倉・明月院の庭にある。「つるべの井」とも。そこの立札の説明には、次のように書かれている。 鎌倉十井の一つ。 岩盤を垂直に掘り貫いて造ったとみられ、 その内部が水瓶のようにふくらみがある ことから「瓶の井」と呼ばれ、鎌倉十井の 中でも現在使用…

銭洗弁天

鎌倉五名水の一つ。正式名は銭洗弁財天宇賀福神社。文治元年(1185)、源頼朝の夢枕に宇賀福神から「この地に湧き出す水で神仏を供養せよ、そうすれば天下泰平の世が訪れる」とのお告げがあった。よってこの地に社を建てて宇賀福神を祀ったところ、世の中の困…

沈丁花

中国原産、ジンチョウゲ科の常緑低木。花の香りを沈香や丁香にたとえたところからの命名。英名では「ウィンター・ダフネ」という。ダフネとはギリシャ神話でアポロンが初めて恋した美少女。アポロンに追いかけられて逃げきれず、月桂樹に化した。 沈丁花より…

鉄ノ井

鎌倉十井の一つ。小町通を鶴岡八幡宮方面に進むと、北鎌倉方面から鶴岡八幡宮の境内に沿って走る横大路にぶつかるが、その角にこの井戸が有る。傍らの石碑には概ね次のような由来が書かれている。 この井戸の水質は清らかで美味しく、真夏でも井戸の水が涸れ…

ミツマタの花

中国原産のジンチョウゲ科の落葉低木。樹皮から和紙をつくれるので紙の原料として栽培された。 みつまたの花を見に出よ。みつまたの さびしき花は、山もかなしき 釈 迢空 岩に打ちて人は三椏の樹皮を剥ぐ頻りに打てば ながし木霊は 松村英一 ほのぼのと山の…

六角ノ井

鎌倉十井のひとつ。和賀江から小坪に向う道の傍にある。別名「矢の根井戸」。傍らに説明板によると、源為朝が伊豆大島から放った矢がこの井戸に落ちて矢じりが残ったところからこの名がついた。井戸替えの際には、矢じりを入れる竹筒を取り替えていた。今も…

小坪漁港

鎌倉の海に流入する滑川(なめりかわ)は、昔は場所によって名前が変わった。上流から順に、胡桃川 → 滑川 → 坐禅川 → 夷堂川 → すみうり川 → 閻魔川 など。 この滑川が海にそそぐ左側が材木座海岸で、昔は和賀江と呼ばれた。右側が由比ガ浜である。突端が逗…

底抜ノ井

鎌倉には鎌倉五山・鎌倉七口(切通)・鎌倉十橋というように名数で数えた史跡がある。鎌倉十井とは、瓶ノ井(明月院)、甘露ノ井(浄智寺)、底抜ノ井(海蔵寺)、棟立ノ井(覚園寺)、星ノ井、扇ノ井、泉ノ井、鉄ノ井、銚子ノ井、六角ノ井 という十箇所の井…

ミモザ

オーストラリア原産のマメ科の常緑高木。わが国には明治初期に渡来。三、四月に鮮黄色の小球状の花を房状につける。房アカシアともいう。 南仏にミモザの花が咲き出せば黄のスカーフを われも取り出す 斉藤 史 光量は誰のものともなき重さミモザ・アカシア両…

馬酔木

あせび、あるいはあしび はつつじ科の低木。開花時期は 3月10日頃から4月15頃まで。漢字「馬酔木」の由来は、枝葉に「アセボチン」という有毒成分を含んでいて、馬が食べると酔って足がなえるというところにある。万葉集にもいくつか詠まれている。 磯…

かりん

花梨はバラ科の落葉高木。ギリシャ語のchaino(開ける)+melon(リンゴ)が語源で、「裂けたリンゴ」の意味。原産は中国東部。成熟した果実には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどがある。トリテルペン化合物の芳しい香を放つ…

りんご

日本固有種もあったらしいが、小さく堅いので、明治期に輸入された西洋種をもとに改良が進んで、現在のような多種多様なりんごが生まれた。国光、紅玉、スターキング、富士、王林などはよく知られた名前である。主な産地は青森、長野だが北海道でも栽培が盛…

枕詞の意味

短歌を学ぶカルチャーや歌会で、枕詞の意味を詳しく解説することはほとんど無いようだ。大方は、現在は意味が不明でおまじないみたいなもの、あるいは調べを整える効果があるという言い訳で通り過ぎる。なんとも淋しい。こんな思いに応えてくれる本が『枕詞…

哺乳類霊長目。南米、アジア、アフリカなど世界に約二百種が生息する。原猿類、メガネザル類、広鼻猿類、オナガザル類、類人猿類など。「ましら」「まし」という異称もある。 猿の鳴き声は、古く漢詩でとりあげられた。中でも次の李白の詩は有名。 早に白帝…

春の城ヶ島

ウミウの岬の海鵜を見たくてまたやって来た。前回は時期が早くて一羽も見ることができなかったが、今回はかなりの数がいた。この岬には、ウミウの他にヒメウ、クロサギが棲む。断崖はこれらの鳥の糞で白い。北原白秋は一年ほどをこの島に暮らし、詠んだ歌を…