天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ヨットハーバー

文字通り、ヨットの係留、保管、その他のサービス施設をもつ専用港である。公営と市営がある。公営の例として、オリンピック用に作られた江ノ島ヨットハーバーがある。 魚跳ねて浜に建ちたる海の家 魚とぶやウィンドサーフィン立て直す ねぢばなの淡きむらさ…

定家葛

ていかかずら。キョウチクトウ科の常緑つる性木本で、本州から九州の山野に多く分布する。初夏に咲く白花の冠は五裂して巴形にねじれる。香気ありやがて黄変する。この風変わりな名前は、式子内親王の墓にからみついた葛は、内親王と深い契りを結んだ藤原定…

蛇苺

バラ科の多年草。茎は地を這う。くちなはいちご とも。日本全土、東アジアに分布する。夏の季語。 蛇苺朝夕は日も濡れにけり 福永耕二 道問へば吉野訛りや蛇苺 寺島初巳 蛇いちごほのかに赤しその君のその唇は吸ふよしもなし 吉井 勇 われの内部の妬心覗いて…

香山園

「かごやまえん」と読む。武相荘からの帰りに立ち寄って見た。ここの入園料も千円と高価である。子供は入園できない。ここは神話時代から続く神ノ倉龍蔵一族の神蔵宗家第二十四代盛清が、大永五年(1525)に小田原城主・北条氏綱から賜った土地である。現在も…

武相荘

「ぶあいそう」と読む。白洲次郎、正子夫妻が昭和十八年以来、生を終えるまで生活した東京都町田市能ケ谷町の住まいである。第二次世界大戦には、その開戦当初より日本が負けることを見抜いており、当時の養蚕農家を購入して移り住んだ。2001年10月に…

ざくろの花

インド北西部からイランで原産のザクロ科の落葉小高木。わが国には、平安時代以前に渡来していたという。なお、花ざくろは実を結ばない八重咲で、花木として栽培される。 告白をこばみきたりて修羅の眼のごとき 朱の花柘榴に向ふ 木俣 修 フラスコの球に映れ…

稲村ケ崎

鎌倉の長谷は、今の時期紫陽花見物の観光客で混み合っている。光則寺、大仏、由比ガ浜、稲村ケ崎 と歩く。稲村ケ崎では、時々映画撮影をやっている場面に出くわす。写真は、鎌倉由比ガ浜側から撮ったものだが、通常の稲村ケ崎はこの裏側の写真である。 紫陽…

蛍袋

キキョウ科の多年草。釣鐘草、とうろう花、ちょうちん花 などとも。蛍の飛ぶ頃に咲く。この袋の中に採った蛍を入れたことから、名前がついたという。 むらさきに梅雨の雨間をあざやけし あら草むらのほたるぶくろの花 宮 柊二 われになほ聖き邂逅ありとして…

蛍はホタル科の甲虫だが、体が柔かく背は扁平。幼虫、成虫ともに腹部に発光器を持ち、冷たい光を放つ。源氏ホタル、平家ホタル、おばホタルなどの種類がいる。 古来、蛍を詠んだ名歌は多い。 沢水に空なる星のうつるかと見ゆるは夜半の ほたるなりけり 藤原…

蛍を見に行く

岡崎市の山里に蛍を行った。自然の蛍を見るのは、小学生の頃以来ではなかろうか。土曜日ともあって、大変な数の車が出ていた。とても駐車できる場所など見つかりそうも無い。あきらめて帰ろうと山里を突き抜けるべく進むと、車が見当たらない場所に来た。そ…

鷺草

本州から九州の湿原にはえるラン科の多年草。花の形が白鷺の飛ぶ姿に似ているところからこの名がついた。鉢植にしたり庭に植えたりして観賞する。夏の季語。 鷺草の風におぼつかなき飛翔 岩城順子 鷺草の水をもらひて翔ちにけり 高野孝子 おぼおぼしき曇りに…

夏椿

紫陽花の季節なので久しぶりに北鎌倉の明月院に行った。大変な人出である。入山料五百円とは別に五百円必要だが、菖蒲園も見ることができる。夏椿も咲いていた。以前は「沙羅双樹」の札が掛かっていたが、今は無い。次に建長寺に入った。ここは特段のことは…

翡翠

カワセミ科の鳥。背が瑠璃色、腹が茶色。嘴は黒く鋭く長い。赤土の土手などに穴を掘って巣をつくる。三月から八月にかけて産卵、子育てをする。夏の季語。 翡翠に杭置去りにされにけり 八木林之助 かはせみが一瞬の瑠璃朝あけは神も油断のこと あるごとし 安…

一名花葵ともいうアオイ科の多年草。中国原産。 立葵ゆらぎ峠をはしる水 水原秋櫻子 門に待つ母立葵より小さし 岸風三楼 立葵天香久山隠しけり 八木林之助 ふるさとの山のふもとの畑なかの立葵にはいつも日が差す 大西民子 水無月の二日二夜の雨ののちかーん…

荒井浜

「神奈川県三浦市の荒井浜でクサフグの産卵がピークを迎え、神秘的な生命の営みが訪れる人たちを驚かせている。」という記事が写真付きででていた。草河豚はフグ科の硬骨魚で、本州中部以南の沿岸に多く生息する。全長約15センチ、背部は淡い灰青色で淡黄…

待宵草

マツヨイグサは南米原産のアカバナ科の多年草。宵待草はオオマツヨイグサの異称である。 おひおひに夕暮れてくらくなる渚浜待宵の 黄は星に似る 佐藤佐太郎 そのあたりにありたる鉢に種とびて待宵草は 寒の日芽吹く 佐藤志満 ほのかなる残心にしてとめどなく…

しもつけそう

関東地方以西の本州・四国・九州に分布するバラ科の多年草。花期は6〜7月。 煤いろにしもつけさうのたつ枯野みすかされ ゐる予兆がかなし 生方たつゑ 霧にこむる薄明の中吹かれつつ下野草は 花房みだす 浜梨花枝

折にふれて

極楽寺、由比ガ浜、光明寺、妙本寺あたりを歩いた時のこと。 石の上に実梅ころがる極楽寺 実朝の見果てぬ夢やほととぎす 梅雨曇うちは太鼓が浜をくる どくだみや蛇苦止の井戸を覗き込む 実桜の踏み潰されし極楽寺ほたる袋はみなうつむけり 引潮の浜に残れる…

アユ科の淡水魚。一年で生を終えるので「年魚」、あるいは芳香があるので「香魚」などとも。北海道南部から南は台湾まで、中国南部、朝鮮半島などに分布。万葉集にも詠まれている。友釣、どぶ釣、ころがし、鵜飼、やな漁 などの捕り方がある。 松浦川川の瀬…

紫陽花

ガクアジサイを母種としたユキノシタ科の落葉低木。花は解熱薬、葉はおこりの治療薬に利用された。万葉集の頃から歌に詠まれている。てまりばな、四ひら、七変化 などの呼び名あり。 言問はぬ木すら紫陽花諸茅等(もろち)が 練(ねり)の村戸にあざむかえけ…

開成あじさい祭

紫陽花の季節になった。神奈川県下には、紫陽花の名所がいくつもある。箱根登山電車沿線、大雄山参道、開成町あじさいの里、江ノ島、鎌倉では成就院参道、長谷寺 等々。 その季節がくれば、毎年こうした場所に行くことになる。さっそく、6日から14日まで…

花菖蒲まつり

小田原城では6日から「花菖蒲まつり」が始まった。雨がやんできた空の下、水溜りに砂をまいてテントの出店の準備をしていた。先日、「あやめ」の項で、時期尚早の花を紹介したが、今が盛りなのである。なお、アヤメは漢字で菖蒲と書く[広辞苑参照]。アヤ…

楽しみに読む

「短歌人」会員2欄の歌評を、現在は小池光さんが担当している。毎月楽しみに読んでいる。前にも書いたが、小池さんの文章は実に歯切れがよい。読み易い。文体に独特のユーモアがある。ここではその例を紹介するつもりはなく、短歌を作る上での要点が随所に…

子恋の森

「短歌人」6月号、水のある風景 に和賀江嶋のことを書いたが、源実朝のことが潜在意識に残っていたせいか、彼と縁の深い熱海の伊豆山神社にきてしまった。三度目か四度目になる。 境内の説明板によると、伊豆山神社は子恋の森の一部で、古来、伊豆大権現、…

おもだか

オモダカ科の多年草。「勝ち草」と呼ばれることもあり、戦国武将や大名家でオモダカの葉を意匠化した沢瀉紋が家紋として使用された。豊臣氏、木下氏、水野氏 などのそれである。 余談になるが、若き日の棟方志功が、道路わきの沼にあやまって転びこんで目の…

カラスムギ

イネ科の1,2年草。荒地や路傍にはえる。ヨーロッパから西アジア原産の帰化植物。麦とともにわが国に渡来したという。 稔りの重さは忽ち喪失の軽さにてからす麦 地にこぼれゐにけり 稲葉京子

岩煙草

イワタバコ科の多年草。葉や花の感じがタバコに似ていることが名前の由来。本州から九州、台湾に分布し、谷間などの岩壁に群生する。6月から8月にかけて紅紫の花をつける。葉は薬用、食用になる。 今の時期、鎌倉の谷戸でよく見かける。 大鉢にうろくづ生…

昼顔

ヒルガオ科の多年草。五月ころから咲くのは小昼顔で花が小さい。 女生徒を連れてのがれしぼた山の裾は いちめんひるがほの花 大西民子 肺尖にひとつ昼顔の花燃ゆと告げんと しつつたわむ言葉は 岡井 隆 昼顔のかなた炎えたつ神神の領たりし日 といづれかぐは…

薊(あざみ)

キク科の多年草。野あざみは春から夏に開花し、鬼あざみは初夏から秋に濃紫色の花を開く。 くらき夜の大寺を吾が出でくれば薊の 花に稲妻のしつ 川田 順 あまた湧く心抑へて過ぐる日に春の薊は 尖りつつ伸ぶ 安永蕗子 ここを過ぎれば人間の街、野あざみの う…

長者ケ崎

三浦半島葉山海岸の先端に位置する。特にどうという場所ではないが、葉山御用邸と浜続きにあるので、散策には都合がよい。海水浴時期になると人出で混み合うが、今の時期は、地元の人達を見かける程度で静かなもの。ハマヒルガオ、ハマダイコン、ハマエンド…