天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

冬の鵙

スズメ目モズ科。モズは漢字で、百舌鳥とも書くように「ものまね名人」という。だが、今まで、残念ながらその物まねを聞いたことがない。 光陰をほづえにわする冬の鵙 飯田蛇笏 天辺に個をつらぬきて冬の鵙 福田甲子雄 冬鵙切に泣けど動かぬ遺髪塚 原子公平 …

夢に解く

小池 光さんのブログ「世界を揺るがした十日間」2009年12月27日 「753」 http://blog.livedoor.jp/qqng48r9/archives/51667432.html を見て、よく理解しなかったことが、潜在意識に残っていたせいか、夢にうなされ別の問題を解くはめになった。 「ピタゴ…

初天神

鎌倉の荏柄天神は、菅原道真を祭神とし、長治元年(1104)の創建と伝える。大宰府天満宮、北野天満宮と並ぶ日本三古天神の一つ。鎌倉幕府の鬼門の鎮守とされた。「吾妻鏡」にも、二代将軍頼家が大江広元を奉幣使として菅公300年忌を盛大に執行した事など…

サヨリ

春の訪れを告げる魚で、ダツ目トビウオ亜科サヨリ科サヨリ属。漢字では、細魚、針魚をあてる。群れをなして、水面下を矢のごとく走る。トビウオと同様、危険が迫ると、尾びれで水面をたたき、跳躍して逃げる。 下顎は長く突き出している。この受け口でプラン…

朝の鵜

片瀬漁港、龍口寺、腰越海岸をぶらぶら歩いた。以前にも紹介したが、片瀬漁港の鵜にまた興味を惹かれた。 掃くほどに寒椿ちる塔の下 丘の上に声明湧き来冬の鵙 花落ちて目白隠るる藪椿 入りきたる漁船の先に次々にうかび出でたる朝の鵜の群 しばしして浮び出…

木蔦

ウコギ科つる性木本で、本州以南の各地にはえる。気根をだして木や岩、壁面、石垣などをよじのぼる。フユヅタとも。 攀ぢ攀ぢて尾根に出づべし摑みたる木蔦の蔓を引きて身を揚ぐ 片山貞実 あらくれの木蔦の腕(かいな)ふとぶとと一本の杉巻きとどめたり 石本…

丸太の森

足柄森林公園丸太の森には、大雄山駅からバスでも徒歩でも行ける。徒歩なら小一時間を見ておくとよい。福寿草を求めてきたのだが、冬枯れの森は森閑として黄色の花は何も見当たらなかった。驚いたことに、細かな歩道をいくつも作っている。市が観光促進のた…

鶺鴒

セキレイ科。わが国には、黄鶺鴒、背黒鶺鴒、白鶺鴒などが生息。たえず長い尾を上下に振るので、庭たたき、石たたき などと言われた。 最近、特に目につく。藤沢の街路、江ノ島の磯、城ケ島の浜辺 など。以前は、珍しいと思ったものだが、いまや雀ほどの関心…

龍の玉

蛇の髭の実。蛇の髭は、山林の蔭地に生えるユリ科の常緑多年草で、リュウノヒゲとも。漢方では、ジャノヒゲの根は「麦門冬(ばくもんどう)」といって、鎮咳、解熱、強壮に使われる。 丈草の墓より貰ふ竜の玉 飴山 實 竜の玉深く蔵すといふことを 高浜虚子 …

寒餅

寒中に搗く餅のこと。ひびわれや黴が生じにくく、保存がきく。温かい地方では、切り餅にし、水に浸して貯蔵する。かき餅やあられ餅にしておくことも。 湖に響く寒餅搗きにけり 室積徂春 住みつきし町がふるさと寒の餅 風間啓二 春雷の行かそけかる夜なりけり…

左義長

さぎちょう。古くは、三毬杖、三鞠打などと書いた。宮中では、正月15日と18日に清涼殿東庭に毬杖(ぎっちょう)を3本立て、うたいはやしながら焼いた。民間では、小正月に行われる火祭り行事の「どんど焼き」になった。俳句では、新年の季語。 山風に焔…

帰り花

かえり咲きの花。冬に暖かい日が続くと、春に咲くような花が再び咲くことがある。台風などで木が傷めつけられたりした年に多いという。俳句では冬の季語。傍題に、返り花、忘れ花、狂ひ花、狂ひ咲き など。 帰り花顔冷ゆるまでおもひごと 岸田稚魚 返り花和…

鎌倉長谷

『飯田龍太全集』を読み返している。江ノ電に乗って、第六巻「鑑賞Ⅱ」を見ていたら、 初湯の子婆の乳房がおよぐと言ふ 山崎土化 という句に出会った。思わず笑い、しばらくして不覚にも涙ぐんでしまった。 極楽寺駅で下車、極楽寺、成就院、御霊神社、長谷寺…

蝋梅、臘梅

中国原産、ロウバイ科の落葉低木。わが国には江戸時代初期に渡来した。唐梅(からうめ)、南京梅といった呼び名もある。庭木や盆栽にして観賞される。花の中心部まで黄色の種類を、素心蝋梅という。実生か接ぎ木により繁殖する。 蝋梅の匂ふや金地曼荼羅絵 矢…

浮寝鳥

横浜三渓園に行く電車の中で、読んだのだが、「古志」一月号から副主宰・大谷弘至の評論「虚子論」が始まった。初回は、死を描いた虚子という題で、虚子の小説「柿二つ」が主題。。これは正岡子規の臨終を看取った写生文であり、虚子の次の俳句の背景。 子規…

横浜三渓園

今年の成人式の日の横浜の空は、あいにくと曇っていた。例年のごとく、三渓園に行く。京浜東北線の根岸駅で電車を降りる。バスを待っていると、一月の風が手に頬に冷たい。根岸駅の方から若い女がひとり、柴犬をつれてやってきた。フード付の白いふっくらし…

鰤(ぶり)

アジ科の魚。地方によって、また大きさによって呼び名が異なる。東京では、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ。大坂ではツバス、ハマチ、メジロ、ブリ と成長してゆく。カムチャツカ半島、サハリン、沿海州、日本、朝鮮半島、台湾近海 と分布する。幼魚のモジャ…

湯豆腐

土鍋に昆布を敷いて湯を沸かし、四角く切った豆腐を入れて茹で、別の椀に取り出して、葱、七味、柚子などの薬味とぽん酢を加えて食べる。次の俳句の初二句には、江戸情緒が横溢している。 湯豆腐や障子の外の隅田川 庄司瓦全 湯豆腐やいのちの果てのうすあか…

寒卵、寒玉子

寒中の鶏卵で、特に栄養豊富。生で食べるのが良い。近年までは病気見舞に使ったほどである。 寒卵かからじとする輪島箸 前田普羅 大つぶの寒卵おく襤褸の上 飯田蛇笏 山の湯やすぐ売切れし寒卵 首藤勝二 おとろへにしみて利くてふ寒玉子鉢につぶして生ながら…

子規と真之

年末に見損ねた記念艦みかさの特別展「秋山真之と正岡子規」を、あらためて横須賀に見に行ってきた。知らなかったことが、展示の資料やビデオにより分かった。子規と真之の交遊状況、日本海海戦時のデータ、秋山好古、真之兄弟の最晩年のこと など。 愛媛県…

書初

かきぞめ。周知のように、新年に初めて毛筆で字を書くこと。俳句では新年の季語。傍題に、筆始、試筆、吉書。絵を描くことでもよい。 大津絵の筆の始めは何仏 芭蕉 書初やあたらしき墨匂ひだす 新谷ひろし 雪置きて山高く見ゆ筆始 秋山幹生 海の子の海の一字…

ヒヨドリ

スズメ目ヒヨドリ科の鳥。全身灰色で耳羽が茶褐色、ムクドリより少し大きめの28cm程度。日本全土に分布、秋になると人里に来て、木の実、昆虫、花の蜜や葉菜類なども食べる。 群れゐつつ鵯なけりほろほろとせんだんの実の こぼれけるかも 古泉千樫 少し…

南瓜(かぼちゃ)

つる性うり科の野菜で、ポルトガルから天文年間に渡来。北海道が主産地。中国ではクワズルといって、種を好んで食べる。唐茄子とも。日本南瓜、西洋南瓜があって多種。 あかあかと南瓜ころがりゐたりけりむかうの道を農夫はかへる 斎藤茂吉 ゆふづくと南瓜ば…

初富士と菜の花

長寿の里・二宮町の吾妻山山頂には、南のそよ風が吹き渡り、菜の花が咲き、そのかなたには、冠雪の富士が朝日を受けて輝いていた。毎年正月に目にしている目出度い風景である。 山頂に登ってきた人たちは歓声をあげて称える。山頂近くの斜面には、水仙の花が…

はまぐり

マルスダレガイ科の二枚貝。北海道南部から九州の内湾の潮間帯付近の砂泥底にすみ、養殖もされる。東京湾や伊勢湾などでよく採れる。桑名市の焼き蛤は有名。夏が産卵期。食用には韓国からシナハマグリも輸入されている。なお、平安時代から貝合せに用いられ…

焼酎

玉蜀黍、甘藷、蕎麦、粟、米などを原料として作るアルコール度の高い蒸留酒。泡盛は、沖縄特産の焼酎のことである。タイ産の米を原料に、黒麹菌を使い水と酵母を加えて発酵させ、蒸留して作る。長年熟成したものを古酒(くうす)という。 あれ庭に蜥蜴あそぶを…

年始の鎌倉

三が日の鎌倉は、初詣客で身動きができないので足を向けない。四日目の仕事始めでも大変な人出であった。寿福寺に寄ったら、日ごろは閉じている山門が、今日は開いていて、庭に入ることができた。四隅に柏槇の古木を見る。裏山の墓地に虚子の墓も訪ねた。 八…

箱根駅伝

一月二日、三日は毎年、この駅伝を東海道の宿場で観ている。今年は、往路を鉄砲宿、復路を藤沢宿で沿道に立って見た。箱根駅伝の見どころの一番は、往路の箱根山越えである。この区間記録が毎年のように更新されているのには驚くほかない。 箱根駅伝の正式名…

水仙の花

ヒガンバナ科の多年草。早春、白や黄色の花を開く。多くの園芸品種がある。水仙は俳句で冬の季語。傍題に水仙花、雪中花。花言葉は、うぬぼれ・我欲・自己愛・神秘。海外では「希望」の象徴。 水仙を背負ひて海に降り来たる 細見綾子 水仙の花びら氷りゐたり…

一年の計は元旦にあり

年の初めに当たって、所属する結社誌1月号に掲載されたわが作品を、以下にご紹介します。2カ月前頃に作ったものなので、新年詠ではない。俳句: 「古志」 5句 翡翠のつぶてが曲がる滑川 沢音の鴫立庵に端居せり 朝顔のすだれなしたる苫屋かな 火の神を鎮…