天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

万作

マンサク科の落葉小高木。北海道南西部から九州までの山地に生育する。4枚の萼片の内側は暗紫色になる。早春の山地に他にさきがけて「まず咲く」が訛って「まんさく」になったという説あり。漢字では、金縷梅とも書く。 まんさくの淡さ雪嶺(ゆきね)にかざし…

シクラメン

サクラソウ科シクラメン属に属する多年草で地中海地方が原産地。日本には明治時代に伝わった。 恋文は短きがよしシクラメン 成瀬桜桃子 頬杖も大事なる日やシクラメン 小檜山繁子 玻璃ごしの湖(うみ)荒れてゐるシクラメン 江中真弓 シクラメン隣室に置きもの…

切手

現在はもっぱら郵便切手の意味で使われているが、もとは関所の通過や乗船など際の通行証を意味した。その後、金銭の受取や預かりの証拠の券を差すようになった。切符と手形の双方の役割を合せて切手と呼ばれた。 この手紙赤き切手をはるにさへこころときめく…

銀河

従来は天の川を指していたが、天文学や宇宙の写真が普及するにつれ、銀河系と同様な形態をしている恒星の大集団を意味することが一般に理解されるようになった。右の画像は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡の映像から借用したもの。 床のぶるしばしがあひだ戸…

イルカ

鯨目ハクジラ類のうち小型の種類の総称。体長5m以上のものをクジラ、それ以下をイルカという。ただ厳密な区別ではないらしい。嘴のあるマイルカ、ハンドウイルカ、カマイルカなどと、嘴のないスナメリ、シャチ、イシイルカなどと種類が多い。なお、カワイ…

太陽

天の川銀河の中心から太陽までの距離は約2万5千光年もある。太陽はほぼ完全な球体であるが、地球型惑星や衛星などと異なり、はっきりした表面が存在しない。質量は地球の約33万倍。太陽系の質量の99.9%を占める。平均密度は水の1.4倍で、地球の5.5倍と比べ…

ハト科の鳥の総称。日本産には、キジバト、アオバト、シラコバトなどがいる。ドバトは、カワラバトを原種に作り出されたというから驚く。伝書鳩もカワラバトが原種という。 生くるとは愛にこころを砕くこと嘴(はし)合はす鳩は 日向をあゆむ 上田三四二 群れ…

南天の実

南天はメギ科ナンテン属の常緑低木。中国が原産地。名前の由来は、漢名の「南天燭」の略。初夏に白い花が咲き、晩秋から初冬にかけて赤色小球形の果実をつける。「難を転ずる」に通ずることから、縁起の良い木とされ、鬼門または裏鬼門に植えると良いとされ…

蝋梅

ロウバイ科の落葉低木。晩冬に裸の枝に蝋のような黄色い花を咲かせる。中国原産で、江戸時代初期に渡来した。臘梅と表記する場合もある。俳句や短歌では、以下に見るように、こちらの表記が主流のようである。 臘梅や雪うち透かす枝のたけ 芥川龍之介 臘梅の…

新春詠(5)

残雪の情景を見ようと、今年はじめて北鎌倉の円覚寺、東慶寺にいった。雪はおおかた解け始めていたが、どちらの境内にも早や蝋梅が咲いて初春を演出するには十分であった。なお、臘梅は晩冬の季語である。 雪被り絵馬あまた垂る天神社 雪積むや呑龍地蔵大菩…

雪の歌(4)

現代の俳句(飯田龍太の作品)や短歌から。 抱へたる蕎麦にも雪のみだれつつ 飯田龍太 新雪にわが子のねむりさるをがせ 遺されて母が雪踏む雪あかり 灼熱の炉の奥やさし雪の夜は 雪はまひるの眉かざらむにひとが傘さすならわれも傘を ささうよ 塚本邦雄 雪ふ…

雪の歌(3)

近代に詠まれた雪の歌をもう少し。 奈良井川(ならゐかは)みなかみ遠き山山にふりける雪は 雲の間にみゆ 太田水穂 路夾(はさ)む並木銀杏の若き枝懇ろに持つ降り積む雪を 窪田空穂 けふ一日(ひとひ)雪のはれたるしづかさに小さくなりて 日が山に入る 斎藤茂吉 …

雪の歌(2)

古典和歌の続き及び近世・近代に詠まれた雪の歌を。 我雪とおもへばかろし笠の上 其角 応々といへど敲(たた)くや雪の門(かど) 去来 雪片のつれ立ちてくる深空かな 高野素十 かきくらし猶ふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり 新古今集・宮内卿 まつ人…

雪の歌(1)

東京や横浜に今年初めて積雪があった。朝早いうちは雨だったのに、昼前になって雪に変って積り出した。あまりに早く積もったのでびっくり。 古来、雪の歌は数限りない。先ずは、古典和歌から。 こと降らば袖さへ濡れてとほるべく降りなむ雪の空に消(け) につ…

地球

誕生してから約46億年という。その1億年前に太陽が出来たという。そして宇宙は約137億年前に出現した。その前はどうなっていたのか? 時間、空間の無い世界は想像しようもない。地球は太陽の周りを毎秒29.78kmで回っているが、この速度も実感できる…

木瓜

実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛したという説がある。平安時代に中国から渡来した。冬に咲くものを寒木瓜という。鎌倉・長谷寺では、黒光という種類の寒木瓜が咲いている。 紬着る人見送るや木瓜の花 許六 口…

ジョウビタキ

ヒタキ科の鳥。漢字で尉鶲と書く。冬鳥として日本に渡ってくる。農耕地や市街地で見かける。スズメくらいの大きさ。人を怖れず、頭をぴょこぴょこ下げて尾を振る習性がある。ヒッヒ、カタカタと鳴く。以下には、ヒタキの歌もあげておく。 じようびたき水のみ…

薄氷

「うすらい」と読む。春先にうっすらと張る氷のことである。また溶け残った薄い氷のことも。万葉時代から使われている言葉で(2008年1月28日のブログ参照)、江戸時代までは冬の季語であった。明治以降に春の季語になった。 せりせりと薄氷杖のなすままに 山…

水仙

春を待つ花であるが、地中海沿岸が原産地という。シルクロードを経て伝来、野生化した。越前海岸、伊豆半島の爪木崎 などが群生地として有名。単に水仙といえば冬の季語だが、黄水仙や喇叭水仙は春の季語である。 清浄な葉のいきほひや水仙花 涼莵 水仙に日…

新春詠(4)

相州春日神社は、横浜ドリームランドが廃園になった後も残った。もともと横浜ドリームランドの発展と繁盛を願って敷地内に奈良の春日大社の分霊を勧請して建立されたものだが、後に神社とドリームランドとは敷地・組織とも切り離された。その際、この名前に…

破魔矢

元は破魔打という弓矢を用いて的を射る正月競技の一つで、その時の弓を破魔弓、矢を破魔矢といった。この競技は、一年の農作物の吉凶、天候などを占ったもの。現在では破魔矢は、初詣の神社から、厄除けのお守りとして買ってくる。一年経ったら神社に納めて…

石の歌(3)

碁石には、周知のように黒石と白石があるが、白石はハマグリなどの貝殻から作られるので、厳密には石ではない。黒石は、那智黒という硬質な粘板岩から加工される。海岸では、打ち寄せる波によって長年月もまれて、丸くなった石を見かける。右の画像の石は、…

石の歌(2)

力石(ちからいし)については、すでに2010年4月2日と6月7日のブログでご紹介したように、四日市大学経済学部・高島愼助先生(教授、医学博士)の日本全国にわたる精力的な調査研究があり、『力石を詠む』というシリーズがある。このたび第六巻が刊行された(…

新春詠(3)

鎌倉の鶴丘八幡宮は、正月松の内までは、参拝客で混み合う。ただ少し朝早めに出かければ、悠々と参拝できる。仕事始めの四日は、午後一時から手斧始神事がとり行われる。鎌倉全体の工事始めという意味を込めているらしい。まだ見たことがない。五日は、午前…

石の歌(1)

さざれ石は小石のことだが、それが成長して大きな巖になるという俗信があった。日本のいくつかの神社境内に飾ってある。わが身近なところでは、北鎌倉東慶寺、鎌倉鶴ケ丘八幡宮、伊勢原市大山阿夫利神社下社など。 よく知られているように、国歌「君が代」の…

新春詠(2)

以前は、元日の朝に鎌倉腰越海岸に初日の出を待ったこともあったが、近年はそのように外に出かけることはない。近くの村社の正月風景を見れば、それでこと足りる。ただ箱根駅伝だけは毎年路傍に立って走者の息遣いに熱くなる。次男の出身校である日本体育大…

新春詠(1)

日本においては、元旦と盆が一年のうちで気分を一新する時期。わけても正月には去年より積極的に生きようと人それぞれに何かを決意する。ただ現代ではこれをそのまま俳句や短歌に詠むことはない。日本各地の正月の風物詩は大切にしたい。 路地の子が礼して駈…

椨(たぶ)の木

タブノキはクスノキ科の常緑高木。別名にイヌグス(犬楠)。東北地方から沖縄まで広く自生し、特に海岸沿いに多い。家具や器具、楽器、彫刻材、建材などに幅広く用いられ、樹皮は染料にもなる。 タブノキの古名は都萬麻(つまま)とされ、次の歌がある。 磯の…

太鼓

日本の太鼓には、締太鼓と鋲打太鼓の二種類がある。後者はビヤ樽形の木製の胴の両側に皮をあて、その縁を胴の端に鋲で固定したもの。雅楽用の楽太鼓は、胴の短い鋲打太鼓を台枠に吊るしたもの。特殊な太鼓として、団扇太鼓やでんでん太鼓などがある。 茂吉翁…

富士の歌(2)

宝永大噴火後、富士山では大規模な火山活動はなかった。ただ、噴気活動は明治中期から大正にかけて、荒巻を中心に場所を変えつつ活発であったとされる。その活動も昭和に入って低下し始め、1960年代には終息した。現在山頂付近には噴気活動は認められていな…